私には3人の子どもがいる。
24歳の時に生んだ長男は、現在24歳になり、その下の長女は19歳に、次女は17歳になった。波乱万丈の子育てはもう、最終章を迎えているのかもしれない。
年頃になった娘と仲良く買い物へ行ったり、旅行へ行ったり、インスタライブをやったり、成人した息子と一緒にお酒を飲んだり、一見すると、子どものことを全く怒ったり怒鳴ったりしない、いつも穏やかで朗らかで優しい模範的お母さんのように見えているかもしれないが、実は全くそうではなかったという話をしようと思う。
あの頃の私の子育てについての話は、今でもたびたび実妹が引き合いに出す。
「昔はあんな悪いお母さんだったくせに!!!!!!!!」
とネタにするくらい、実家では伝説として語り継がれている。
間違った道に進まないように、正しい人間に育てなければならないという重責は私一人にかかっていると思うがあまり、私は厳しいお母さんだった。虫歯になるからチョコやキャラメルは3歳まで一切食べさせなかったし、初孫を甘やかしてごはん前にお菓子を次々と与える義父母に対しては常に怒りしかなかった(あの頃は)。
厳しく育てたと自分では思っていたが、今思い返せばあれはただのヒステリックなお母さんだったと思う。
子どもが何か間違ったことをすると、基本的に泣かすまで怒り続けないと気が済まなかった。
言うことを聞かない子どもに、自分の思い描いた通りに行かない子育てに、ただただ腹が立った。たくさんの子育て本を読み漁り、その度に今度こそいいお母さんになろうと心に誓うのに、その日の夜にはもう忘れて喉が潰れるほど叫んで怒り散らした。
泣いて謝る子どもを無視して歩き続けたことも100億回くらいあるし、
「母さんは今日は機嫌が悪いから絶対に話しかけないで」と言い渡すような、ほんとに信じられないくらい気性の激しい悪いお母さんだった。
あの頃の母さんのことを子どもたちは今も覚えているのだろうかと考えると、冷や汗が出るほど恥ずかしい。
聖母マリア様のような、いつもゆったりと微笑んでいるような穏やかで優しくて美しいお母さんになりたいのに、どうやったらこのストレスを処理できるのか。
心の余裕はどうやったら生まれるのか。どうやったらイライラしなくなるのか。
子どもとはこうあるべき!母親とはこうあるべき!夕飯は18時に食べ始めるべき!子どもは21時には寝るべき!こうしなければならないという自分のルールにがんじがらめに縛られていたわたしは、出来なかった時のギャップに苦しんだ。このままでは確実にストレスで死んでしまう・・・
仕事こそがわたしのストレスを解消するものと思っていたのに(長男を生んだ後に仕事復帰をした時、目の前がぱぁぁぁぁぁあああっと明るくなるのが分かった。子どもと離れて仕事に出ることこそが私らしくいられる方法なのだと、子育ては私に向いていない!私は社会に必要とされている!と心底思った)、気付けは3人の子の母となっていた私は、なかなか仕事に復帰するタイミングがつかめなかった。
ちなみに……子育てに全く参加していなかったオットは毎晩帰りが深夜で、たまの休みの日は疲れて昼まで寝ているだけ、子育てについて相談すると「お前に任せるから」と言われ、子どもたちのオムツすら一度も替えたことはなし、遊んでくれたこともほとんどない。むしろ生んだ覚えのない4人目の子どものようだったので、そんなわけでオットとの仲もどんどん悪くなっていった。
表面的には従順な妻を演じ、仲良くふるまっていたが、心の中ではいつも不満で爆発しそうだった。
今なら思う、うちの夫婦は確実に離婚案件だったなと(笑)。
来月(12月下旬公開)に続く・・・
【井上かなえ(かな姐)さん人気レシピ】
材料や作り方は下記リンク先の
よみファクッキングに掲載しています。
料理ブロガー。料理家。兵庫県在住。
2005年にスタートした3人の子どもたちのリアルな日常と日々のごはんを綴ったブログ「母ちゃんちの晩御飯とどたばた日記」はライブドアブログで2018年に殿堂入りし、レジェンドブログに。
最新刊「てんきち母ちゃんのらくべん!レンチンだけ、あるものだけ、実働3分!」(ダイアモンド社)など著書多数。
東京、神戸での料理教室開催、雑誌、TV、食品メーカーのレシピ考案などでも活躍中。
2020/12/24発売のお料理単行本
[blogcard url=”https://www.amazon.co.jp/dp/4065218152?psc=1&tag=tenkichi-22&th=1&linkCode=osi”]
[blogcard url=”http://inoue-kanae.blog.jp/”]