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井上かなえ(かな姐)さんのコラム&レシピ3か月連載season2-3

【子育てコーチング】その3

自分と子どもたちを別個の人間として認識し、接することができるようになった私は、ストレスが減り、穏やかになりつつあった。

わたしが思っていることはあくまでも私の目線、私個人の気持ちであって、これは相手がそう思っていることではない、相手は全く別の視点を持っているということをいつも念頭に置けば、不満で爆発しそうだったオットに対しても、不思議と穏やかに接することができるようになった。

なんせ相手は生まれ育った環境の全く違う赤の他人なのだから。

が、私も所詮は人の子。

家事をしてくれない!

座っていれば食事が自動的に出てくると思っている!

育児を私に任せっぱなしにする!

言わなきゃわからないわけ?

すべてが私の指示待ちなわけ?

私がやっていることに感謝の気持ちはないわけ?

という不満は時々どす黒いストレスとなって新米ママを襲うことがあった。

これを根本的な解決に導いたのは、当時のママ友(夫のことが大好き過ぎるのを隠さないタイプ)の影響が大きいのかもしれない。

 

子どもを産んでからというもの、私は完全に子育てのモードにスイッチオンした・・・つまり妻から母へと進化し、子ども第一になったわけだが、一方のオットはいつまでも自分こそ妻の一番でありたかった。

これを・・・オットが第一だった新婚時代の自分まで戻す努力をしたのだ。

子どもも勿論大事だが、それ以上にオットも大事にする。

それまでないがしろにしていたオットと1杯のコーヒーを飲みながらの何気ない会話や、些細なことにも感謝の言葉を述べること、また、夫婦だけの時間を持つために二人で買い物へ行くことや、子どもたちが大きくなってきてからは夫婦でランチへ行ったり数年前からは二人だけで旅行へ行ったりもするようにした。

オットを大切にし、敬い、感謝し、大事に接するようになると、オットの態度も徐々に変わってきたように思うが、何より自分の気持ちの変化にも驚いた。

オットを大事にするようになると、オットに対してイライラしなくなったのだ。

 

 

オットに自分の尺度で過度な期待はしない。

自分の中の理想的な妄想オットを勝手に思い描いて、目の前のできないオットにイライラするのではなく、ありのままのオットを受け入れ、何もしてくれなくて当たり前だと思うこと。

だってオットは家事ができるようになりたいなんてひとつも思ってないのだから。

他人を変えることはできないし、変えられるのは自分だけだから。

何故家事をやってくれないのと一人でイライラしているより、ずっと私の精神は安定した。

部屋は片付いていなくてもいいし、毎日掃除機をかけなくてもいいことにした。

「~しなければならない」からの解放だけで、眉間のしわは減った。

オットに何か頼みたい時は、すべて自分主体で話すようにした。

◎「明日、私は帰宅が遅くなるから、ご飯は外で食べ来てもらえると助かるな」

×「ごみ捨てくらい行ってよ!ほかの家の旦那さんはみんなそれくらいしてくれているよ!」

強いボールを投げつけるのではなく、こうしてもらえると私は助かる、と伝えるだけ。ボールは投げつけるものではなく、受け取りやすい位置に優しく投げるだけ。そうすれば強いボールが跳ね返ってくることはない。

そもそもだが・・・よく考えてみれば、私は相手にも当然伝わるはず!と思い込む傾向があり、多くを口にしない。つまり喋っていなかった。

そのくらいわかっているでしょ!

私が大変だということは見てればわかるでしょ!

伝わっているでしょ!

と思い込み、口には出していなかったのだ!!そりゃオットも困惑するわ。

言わなきゃわからないのだ何事も。

同じ景色を見ていたとしても、同時に多くのことを理解し多くを察することができる私とは違って、オットは自分の見たいものしか見ず、察しようとせず、言わなきゃわからないのだ。

 

口に出して言ってもいないことで、勝手に怒って機嫌が悪くなっていたのは私だった。

そのうちオットは自らトイレ掃除をするようになり、気がつけば風呂掃除をしてくれるようになり、子どもたちが自分でお茶を入れているのを見てからなのか、コーヒーも自分で淹れてくれるようにまで成長した。

休日には早起きして布団も自分で干せたよ!(なぜなら私がしないからね!)

自分のことは自分でする、これだけのことでどれほど私が楽になったことか!!!

出来ないことを数えるのではない。出来ることを数えるのだ。

出来ない、やってくれないと責めるのではなく、言い方次第、気持ちの持ちようで、自分も相手も上手にコントロールすればいい。

相手の領域に入り過ぎることなく、相手も私の領域に立ち入りすぎないように。

適度な距離感と相手を一個人として尊重すること。

これこそが私たち夫婦がここまでやってこられた理由なのだ。

 

二人ともが家事を対等に分担するのが当然のご夫婦から見たら、呆れるほどに出来ていない夫婦だろうが、うちはうち!よそはよそ(笑)。

去年、私たち夫婦は銀婚式を迎えた。

これは同時に、私が井上姓になってからのほうが旧姓の期間よりも長くなったことを示す。

これから数年後には三人の子どもたちは巣立っていき、夫婦二人の時間になっていくのだろう。

ストレスを溜めず、お互い楽しく金婚式を迎えるまでにはさらに多くのノウハウが必要となってくるのだろう。

これまでのやり方を変えねばならなくなってくることもあるかもしれないが、今後もオットを第一に、相手に多くを求めすぎず、さりとて自分にも甘く、適度な距離感で仲良く元気にやっていきたいと思っている。

 

よみファクッキング2月のレシピ

【井上かなえ(かな姐)さん人気レシピ】

材料や作り方は下記リンク先の
よみファクッキングに掲載しています。

◆たっぷり白菜の麻婆はるさめ

◆青梗菜と豚肉の味噌バター炒め

 

井上かなえ(かな姐)さんプロフィール

料理ブロガー。料理家。兵庫県在住。
2005年にスタートした3人の子どもたちのリアルな日常と日々のごはんを綴ったブログ「母ちゃんちの晩御飯とどたばた日記」はライブドアブログで2018年に殿堂入りし、レジェンドブログに。
最新刊「てんきち母ちゃんのらくべん!レンチンだけ、あるものだけ、実働3分!」(ダイアモンド社)など著書多数。
東京、神戸での料理教室開催、雑誌、TV、食品メーカーのレシピ考案などでも活躍中。

2020/12/24発売のお料理単行本

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