漫画から学ぶ。
その1 「天(そら)は赤い河のほとり」
私は子供の頃から本を読む、イラストを描く、文章を書くなど、1人で過ごす時間が好きだった。
高校生の頃に書いたイラストは今もスケッチブックに残っており、時代を感じさせる。
パーソンズ!懐かしい。
漫画好きになったのは、実は大人になってからのことだ。
どこかで大好きな漫画について熱く語りたいと思っていたので、ここで(勝手に)語れるのはうれしい限り。
このテーマに興味ある人が果たしているのかは置いといて。
私の電子書籍の本棚には5000冊を超える漫画が保存されているのだが、
今回はその中でもベスト5に入るほど好きな「天は赤い河のほとり」という漫画について書きたいと思う。
歴史好きということも相まってどハマりし、全28巻を少なくとも5回は読んだのではないだろうか。(暇か)
この「天は赤い河のほとり」は、現代(と言っても1990年代)の日本で普通に暮らす中学生の少女が、古代オリエント「ヒッタイト帝国」にタイムスリップし、皇妃に上り詰めるまでの物語だ。
タイムスリップという非現実的な内容にも関わらず、実在した人物が入り交じっているところが歴史好きとしてはたまらない。
普通の少女だったはずの「ユーリ」は、実は、常に戦と権力争いで死と隣り合わせであった古代オリエントで生きて行く、ひいては皇妃にまで上り詰める「力」を持っていた。
その「力」とは、 戦闘能力、危機管理能力、プレゼン力、ずば抜けた身体能力と体力、マネジメント力、指揮能力、コミュニケーション能力、観察力、洞察力…
社会で生きて行く上で見習うべき「力」にあふれていたのだ。
いや、そんな中学生おる?!
次期皇帝の座の争いに巻き込まれ、殺意に満ちた後宮の中でユーリを守るべく常に側にいる第三皇子のカイル(死ぬほどかっこいい、好き過ぎる)と、彼に寄り添いながらも何事にも自分の力で立ち向かい、乗り越えるユーリ。
ユーリの類まれなる才能、強い精神力に惹かれ、ユーリとカイルの確たる愛の中に割って入ろうとする古代エジプトの皇子ラムセス1世。
次から次に起こる事件、張り巡らされた罠、忘れた頃に回収される伏線など、読者を決して飽きさせない展開にどんどん引き込まれて行く。
そして個人的に興味深いのは「ヒッタイト帝国」そのものについてだ。
古代オリエントではエジプトと同等の力を誇っていたヒッタイト帝国の存在自体がなぜ近年まで知られることがなかったのか。
青銅器しかなかった時代に鉄器文化を築いたと言われるヒッタイト帝国が、未だ繁栄し続けるエジプトに相反していつしか消滅し、近年まで知られることさえなかった理由を、タイムスリップして是非とも大学の卒論テーマにしたいと思う。(非現実的と自分で言っておきながら)
今の時代では当たり前である「平等」という感覚が無いに等しかった時代に、「平等」という感覚を当たり前に持つユーリの存在は民の希望だった。(ユーリは実在しないけれど)
もしその感覚がひと昔前の日本にも当たり前として根付いていたとしたら、歴史は変わっていたのかもしれない。
そしてこの漫画で重要なのは、ユーリはその素質を持ってはいたが、最初から強い女性だった訳では無い、ということだ。
毒を盛られる、背中に矢が刺さる、信頼していた人に裏切られ殺されそうになるなど、考えられないほど何度も何度もピンチが訪れる。 しかしその度にユーリは「生きる方法」を探し、幾度となく訪れるピンチをチャンスに変えて行く。その度に強くなって行くのだ。
何度も言うけど、
そんな中学生おる?!
それに比べて自分はどうだろうか。ピンチはいつもピンチでしかない。(笑)
私は常に「ダメかもしれない」と自分に保険をかけて、本当にダメだった時に傷つかないようにしている節がある。
1人で過ごす時間が好きなのも、1人なら傷付かずに平穏に過ごせるという気持ちが少なからずあるからかもしれない。
もしこの漫画を高校生の頃に読んでいたら何か変わっていただろうか。
あの頃の自分には響いていただろうか。
大人になってから夢中で読んだこの「天は赤い河のほとり」から学んだことは、
「守りたいものがあると、人は強くなれる」
ということだ。(ええこと言うたんちゃう?)
まだ読んだことがない方はぜひ読んでみて欲しい。
28巻あるけど。(笑)
たっきーママ(奥田和美さん)
料理研究家、お弁当プランナー
「料理レシピ本大賞in Japan ‘2016」入賞。
「レシピブログアワード」お弁当部門3年連続グランプリ受賞、レジェンド入り。
フードアナリスト、フードコーディネーターとしてテレビ、雑誌、広告の他、企業のレシピ開発などで活動。
著書では発行部数11万部超えの「朝すぐ!弁当」(扶桑社)他、累計118万部突破。
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『たっきーママ@Happy Kitchen』
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