漫画から学ぶ。
その2 「日に流れて橋に行く」
「料理研究家」と聞くと、テレビや雑誌に載るような華やかな仕事と思われる方もいるかもしれないが、意外と地味な仕事だ。
私のように個人でやっている場合、
依頼の金銭交渉から始まり、レシピ考案、試作、撮影、レシピ原稿入稿、納品、校正、請求書の作成、
これら全てを1人で行い、このような案件いくつかを並行して進めながら
それらのSNSへの発信、時にはテレビや雑誌等の撮影の試作や打ち合わせ、
そこに書籍の制作が加わるともうプチパニックだ。
特に私はあれもこれもを同時に進行する器用さを持ち合わせていないので、
タスク管理は完璧にして頭を整理しておかないと不安で仕方がない。
スケジュール管理はアナログ派でメモ魔。
納品日はピンク枠、レシピ案提出日は黄色、余白にはTO DOや依頼テーマの概要などのまとめ、
締め切り日に付箋を貼り、終わればはがす。
この単純な方法が一番私に合っている。
そんな目の前の仕事をこなすのに精一杯な毎日だが、いつもどこかで「このまま、ただ日々をこなしているだけでいいのだろうか」という焦りがある。
なぜなら、自分の代わりはいくらでもいるからだ。
いつまでも、待っているだけで仕事が舞い込んで来るとは限らない。
本も、売れなければ次はない。
常に崖っぷちに立たされているような気分だ。
私は以前、「今後の目標は?」というインタビューを受けた時に「現状維持」と答えたことがある。
しかし、この「現状維持」がどれだけ大変なことかを当時はわかっていなかった。
そこで改めて心に響くのが
「日に流れて橋に行く」
という漫画の中のセリフだ。
「人はすぐに飽きる
興味は長続きしない
変化して先に進んで
ようやく現状は維持できる
立ち止まれば全てが終わる」
この「日に流れて橋に行く」という漫画は、セルフプロデュースしなければならない人やフリーランスには刺さる漫画ではないかと思う。
最近読んだ漫画の中でお気に入りの漫画だ。
恐らく、某老舗百貨店がモデルになっているのではないかと思う。
時は明治、老舗呉服屋が並ぶ日本橋も新しい時代を迎えようとしていた。
時代の流れとともに進化する呉服屋の中で、伝統を重んじるあまり時代に取り残され、経営も危ぶまれる呉服屋があった。
経営には向いていないと誰からも期待されていなかったこの呉服屋の三男が、その呉服屋を立て直していく物語だ。
この三男が、古い伝統に囚われ変化を恐れる頑なな従業員たちの心を動かし、改革に乗り出し、遠のいた客足を戻して行く。
常に新しい何かを探し、常識に囚われず、無駄なものは固定概念もろとも切り捨てる。
彼はただ理想を唱えるのではなく、自らの行動をもって周りの心をつかんで行く。
結果を出せばいつか味方は増えることを知っていたのだ。
この漫画を読んで改めて世の中を見渡してみると、どれほど「新しいことへの挑戦」が大企業の今を支えているかがわかる。
1つの商品が大ヒットしたとしても、その商品だけにこだわり、しがみついていたらもう後は無い。
長く続いている会社こそ、ヒットしたもの、歴史あるものだけに囚われず前へ進んでいるのだ。
先程も書いたように、私の代わりはいくらでもいる。
だからこそ、自分でなければならない理由を、その「何か」を探さなければならない。
誰もやっていないことを、新しい何かを。
これはフリーランスの人が常に抱える共通の悩みではないだろうか。
けれど、今は目先のことに精一杯で未来が見えていない状態でも、
そんな精一杯の毎日を重ねた結果が未来へとつながっているのだとしたら
1日の終わりに、今日もやれるだけのことはやったと満たされていれば、
きっと明日は一歩前へ進めているはずだ。
この漫画で私は
『「未来のための今」をどう過ごすべきか』
を考えさせられた気がする。
自分の進むべき道に迷った時はぜひ読んでみて欲しい。
まだ完結してないけど。(この先全然違う話に進んだらどうしよう 笑)
たっきーママ(奥田和美さん)
料理研究家、お弁当プランナー
「料理レシピ本大賞in Japan ‘2016」入賞。
「レシピブログアワード」お弁当部門3年連続グランプリ受賞、レジェンド入り。
フードアナリスト、フードコーディネーターとしてテレビ、雑誌、広告の他、企業のレシピ開発などで活動。
著書では発行部数11万部超えの「朝すぐ!弁当」(扶桑社)他、累計118万部突破。
オフィシャルブログ
『たっきーママ@Happy Kitchen』
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