革新的店舗 コーヒーで地域おこし ✽ 澤井珈琲 / 境港市
- 読売ライフ
- 2024/11/15中四国情報
【 鳥取県版 】おじゃましまーす!
革新的店舗 コーヒーで地域おこし
澤井珈琲 / 境港市
澤井珈琲本社工場
1982年に米子市で創業した「澤井珈琲(コーヒー)」は、自家焙煎(ばいせん)した香り高いコーヒーを店舗と通販で提供している。
2006年に境港市竹内団地に本社と工場を移転し、24年5月には新工場とともに革新的な店舗「澤井珈琲ラボショップ」をオープン。
SNSを使った情報発信にも取り組み、「コーヒーによる地域おこし」にも力を入れている。
◆〝豆のコーヒー〟を家庭に
創業者の澤井幹雄さん、由美子さん夫妻は当時主流だったインスタントコーヒーに代わり、「家庭でも豆のコーヒーを淹(い)れる時代が来る」と、米子市内でコーヒー豆専門の販売店を開業。狙いは的中し、店で焙煎したコーヒー豆を家庭で味わう楽しみ方が広まり、それに伴い業績も拡大。海外から輸入したコーヒー豆を独自の技術で焙煎した品質の高いコーヒーが人気を集め、店舗は米子市内だけでなく、県内各地や島根、東京、台湾にまで広がった。
2002年からは長男で常務の理憲(まさのり)さんが「楽天市場」に出店し、ネット通販にも力を入れた。現在はコーヒーだけでなく、フレーバー紅茶やスイーツなど豊富な商品をネット上で展開。週2〜3回、顧客にお薦め商品を発信するメールマガジンの配信リストは100万人を超える。楽天市場の「水・ソフトドリンク部門」では、16年まで11年連続でショップ・オブ・ザ・イヤーを獲得するなど、同社の会議室には主要通販サイト各社の表彰盾が多数並び、壮観だ。
数々の受賞盾
◆ 澤井珈琲ラボショップ
境港市の工場では毎日約10t、コーヒーにするとカップ100万杯分の豆を焙煎している。海の近くにある工場一帯は焙煎特有の香りが漂い、思わずコーヒーが飲みたくなる。そんな思いに応えるようにオープンしたのが、工場隣接の「澤井珈琲ラボショップ」だ。店内ではコーヒーやスイーツの飲食ができ、中でも好評なのが〝世界一新鮮なコーヒー〟の販売だ。店に並ぶ14種類の生豆から好きな豆を選んで、その場で焙煎してもらえるという焙煎技術の蓄積を生かした同社ならではのサービス。また、コーヒーに含まれる「トリゴネリン」という成分は疲労やエイジングケア、集中力への働きが注目され、鳥取大学との共同研究で同成分を多く含む「トリゴネコーヒー」を開発。トリゴネコーヒーを使ったコーヒーフロートも人気商品のひとつになっている。隣接する温室ではコーヒーを苗から栽培し、今や「コーヒー栽培の北限地」と言われている。
24年5月にオープンしたラボショップ
トリゴネコーヒーフロート
経営企画室長の澤井聡さんは「コーヒーはトリゴネリンだけでなくポリフェノールも豊富です。葉も煎じて飲めるので、コーヒーを通じて健康を届けたい。ラボショップはコーヒーの可能性を探る研究施設でもあります」と話し、コーヒーを「魚」「妖怪」に続く境港市の新たな名物として加えることで、「さらなる地域活性化に取り組みたい」と今後の展開を模索する。(エリアライター/安井徹仁)
コーヒー栽培の温室