【 岡山県版 】頑張ってま〜す!
最高齢95歳!熱いダンスで魅了する
「OYAじ〜’Z(おやじ〜ず)」備前市
(前列左から)金光彰三さん、宗包秀敏さん、星尾真理子さん、楢崎隆由さん
©NOZOMI FUJIMURA
黒いシャツに真っ赤なネクタイを締め、ビートの速い曲に合わせて、キレのあるダンスを踊る——。
備前市伊里(いり)を拠点に活動する平均年齢79歳のストリートダンスグループ「OYAじ〜’Z」だ。
メンバーの最高齢はなんと95歳! 「会場が盛り上がる」とイベントへの出演依頼が絶えないという。
◆ 目的は地域の話題づくり
結成は2011年。当時、伊里公民館の館長だったリーダーの小林建夫さん(79)が同館のダンス講師の薮井久実さんに誘われ、友人男性6人と始めたのがきっかけだ。
4年前からは女性も加わり、現在のメンバーは男女9人になる。
レッスンは週に1回、同公民館で行われ、ストレッチや基本動作、振り付けを練習する。通常、ステージで披露するダンスは1曲約5分。振りを覚えるのもひと苦労しそうだが、最年長の金光彰三さん(95)と宗包(むねかね)秀敏さん(92)が、一番覚えが良いというから驚く。
なぜ、ストリートダンスだったのか。小林さんは、「当時の館長として、過疎の伊里地区に話題性を持たせたかった。年寄りが若者のダンスを踊ったらびっくりするんじゃないかと思った」と話す。それを聞いた西中弘三さん(79)は「『リズム体操じゃから』と誘われて入ったら全く違っていた」と笑う。このノリの良さが上達につながっているのかもしれない。
◆ 活動危機を乗り越えて
明るい笑顔の裏で、この13年の間に仲間2人を病気で亡くし、金光さんや宗包さんも圧迫骨折や心筋梗塞(こうそく)を患い、小林さんにもがんが見つかるなど、試練も続いた。活動の危機は幾度となくあったが、決してへこたれなかった。
講師の薮井さんは、そんな〝教え子〟たちを「常に前向きな人生を送る素晴らしい先輩方」と大絶賛。グループの活躍を多くの人に知ってもらいたいと願っていたところ、ダンス関係者の推薦で「OYAじ〜’Z」の存在が厚生労働省に届く。それがきっかけで7月には、東京都内で開かれた同省の世界・日本肝炎デーイベント「健康デー2024」に招かれ、厚労相や同省健康行政特別参与で俳優の杉良太郎さんらの前で踊り、全国に知られることになった。
「結成時の目的通り、伊里を盛り上げられた。今後も続けていきます」と意気込むメンバー。「年齢はただの数字」という言葉がぴったりなスーパーシニアのこれからに、ますます注目したい。(エリアライター/福田ひろみ)