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【 広島県版 】おじゃましまーす!

  唯一無二のモノ作り  世界で愛されるスニーカーを!

スピングルカンパニー府中市

巨大スニーカーのモニュメントが目を引く社屋

県東南部の内陸にある人口約3.5万人の小さな町・府中市から世界に発信するスニーカーの会社がある。快適な履き心地と高いデザイン性で国内外に多くのファンを持つスニーカーブランド「SPINGLE(スピングル)」。スニーカー好きを虜(とりこ)にする「スピングルカンパニー」の本社を訪ねた。

工場を残すために
本社はJR府中駅から北西へ約500mの場所にある。入り口にある大きなスニーカーのモニュメントが目を引く。隣接してカフェ併設のおしゃれな直営店があり、道路を隔てた向かいに自社工場が立っている。

本社横の直営店でスピングルの定番「SP-110」を紹介してくれた舘上さん

スピングルカンパニーは、1933年創業のゴム加工メーカー・ニチマンのグループ会社。ニチマンは80年頃の最盛期にはゴム靴などを年間約350万足作っていたが、90年代になると安い海外製品に押され、工場存続の危機にさらされる。「そこで何とか工場を残したいと目をつけたのが、社内で長年大切に培ってきたバルカナイズ製法で作るレザースニーカーでした」と広報担当の舘上瑞紀(たちがみみずき)さん。バルカナイズ製法とは、硫黄を加えたゴム底と本体を装置(加硫缶)に入れ、熱と圧力を加えて接着する靴の製法の1つ。靴底がはがれにくく型崩れせず、優れた耐久性を生むのが特長だ。国内でこの製法ができる工場は数少ない。

バルカナイズ製法を行う3本の加硫缶

実績を積み重ね成長
スピングルカンパニーは97年に設立され、ファーストモデルが完成したのは2002年。靴底が本体にせり上がる「巻き上げソール」の個性的なデザインで、有名デザイナーがファッションショーで取り上げたことで認知度が一気に上がった。04年にカンガルーレザーを採用した「SP-110」を発売。舘上さんは、「カンガルーレザーは薄いのですが、強度があり、足に吸い付くようなフィット感で履き心地が抜群。巻き上げソールとカンガルーレザーがスピングルのスニーカーの象徴です」と現在も定番として広く支持を集める商品について話す。工場では、ゴムと薬品を混ぜてソールの材料を作ったり、靴本体にゴムのテープを巻き付けたりと、たくさんの人が関わって、一つ一つ丁寧な物作りが進んでいた。

工場では人の手で丁寧な物作りが行われている

同社製品の専門店は、全国に14店舗。今年は広島市中区、JR福山駅前にも新店をオープンさせた。取り扱いは台湾やシンガポールなどの海外も含めると約350店。発売から20年以上変わらぬデザインの「SP-110」には、世界を見据えた同社のアイデンティティーが詰まっている。唯一無二のモノ作りを追求する姿勢はメイドインジャパンのプライドそのものだ。(エリアライター/井東由里子

 7月に福山駅前にオープンした「SPINGLE VINGO GATE」

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