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【 愛媛県版 】実は日本一(花かつお生産量)

  和食ブームと共に世界へ躍進中!

削り節シェア過半数を担う/ 伊予市

和食に欠かせない花かつお(写真提供/マルトモ)

日々の食卓に欠かせない「削り節」。瀬戸内海の食文化として約100年の歴史を持ち、近年は和食ブームで世界へ飛躍し始めている。削り節の市場シェアの過半数は伊予市が担っている。

瀬戸内海のイワシが始まり
削り節はカツオ、ソウダガツオのほか、イワシ、サバ、アジなどの節をかんなで薄く削った水産加工品。このうちカツオを原料とするものが「花かつお」とされる。伊予市にはトップメーカーの「マルトモ」と「ヤマキ」が隣接して本社を置き、「花かつお」の生産量は全国一の年間約5000tを誇る。東京のマーケティングリサーチ会社インテージの今年3月の消費者パネル調査(※全国15〜79歳の男女5万3600人の消費者から、継続的に収集している日々の買い物データ)によると、この2社が削り節市場約477億円の53.7%を担う。

県生涯学習センター(松山市)のデータベース「えひめの記憶」によると、瀬戸内海で大量に取れたイワシを干して、薄く削ったことが、削り節の始まり。この技術は大正時代に広島県福山市で開発され、瀬戸内海を渡り、同時代にマルトモ、ヤマキが創業した。

マルトモとヤマキが並ぶ伊予市米湊

食卓になじみ深いパック入りが登場したのは昭和40年代。削り節の包装袋に窒素ガスを入れる技術が確立され、劣化しやすい削りたての味や風味が、1年間保持されるようになった。マルトモ専務の土居幹治さんは「我々はこれを〝包装革命〟と言っています。これにより、花かつおの生産量が飛躍的に伸びました」と語り、各家庭で削る手間が省けたこと、スーパーが国民生活に浸透し、パック入りが大量に流通したことを背景に挙げる。

大ヒット商品は上品な口どけ
現在も各社が商品開発や削る技術の向上に競いながら業界の底上げに努めている。マルトモで平成以来、大ヒットを続けている商品が鹿児島県枕崎産の上質なかつお枯節を使った「プレ節」。開発者でもある土居さんによると、従来品では超硬刃のかんな刃の機械で、厚さ30〜40㎛(1㎛は1000分の1㎜)に削るところを、「プレ節」では刃に人工ダイヤモンドを蒸着させて削ることで、25㎛の超極薄を実現。口の中で溶けるような食感が消費者にうけた。

かつお節を削る機械が並ぶマルトモの工場(写真提供/マルトモ)

マルトモのヒット商品「プレ節」を開発した土居さん

2013年、和食はユネスコ無形文化遺産に登録されたことがきっかけで、世界的ブームとなった。削り節でだしをとって料理に使う文化は日本固有とされるが、「かつおだしを利かせた料理は薄味でもおいしく、減塩につながることも着目され、様々な料理に取り入れられるようになりました。近年は北米や欧州を中心に輸出が顕著に伸びています」と土居さんは削り節の展望に力を込めた。(エリアライター/黒田仁朗

 

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