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取材記者の旬のトピック

【 岡山県版 】移住バンザイ(茨城 ▶︎ 倉敷)

  国産デニム発祥地でブランドを設立

Gジャン専門店「ダンジョデニム」デザイナー福川太郎さん/倉敷市

ミシンを使って商品づくりをする福川さん

◆ 撮影旅で児島へ
児島半島に位置する倉敷市下津井は、タコ漁で知られる漁業の町。江戸から明治初めまでは北前船の寄港地として栄え、町並みには今も往時の面影が残る。その一角にあるGジャン専門店「ダンジョデニム」をのぞくと、ミシンの音が止まり、デザイナーの福川太郎さん(45)が奥からひょいと顔を出した。

福川さんは茨城県出身。7年前に自身のGジャンブランドを設立するため、単身で児島に移住してきたが、それまでは様々な夢の変化があったと振り返る。就農を志し、北海道の大学の農学部に進学。卒業後はパソコンが普及し始めた時代とあって、東京の大手電機メーカーに就職したが、厳しい競争の業界に疲れ、26歳で退職。その後は以前から音楽制作に夢中だったことから、ミュージシャンを目指し、大手レコード会社からCDを発売したこともあるという。

児島との縁は、2015年に「国産デニムの発祥地の児島まで東京から徒歩で移動し、その過程でGジャンが自然に色落ちしていく様子を自主制作のミュージックビデオに取り入れよう」と思い付いたことが始まりだった。撮影のため、42日かけて児島まで歩いた。翌年、徒歩の旅で情報を得たジーンズ縫製実践講座に参加するため、再び児島を訪れた。福川さんは「工業用ミシンを使うことで自信とチャレンジ精神がわき、ブランドを設立しようと決意しました」と話す。

福川さんのGジャンはスタンドカラーで細身の
シルエットが特徴(写真提供/福川さん)

◆ 移住検討交流会を開催
当初、東京都内に店を出そうと試みたが資金不足で断念。その頃、倉敷市が児島のアパレル業界で起業したい人を対象に支援制度を設けていることを知り、17年に移住した。倉敷市児島産業振興センター内のオフィスが格安で借りられ、工業用ミシンも自由に使えた。
「センターでの4年間は、市や地元の商工会議所が様々な繊維に関するイベントに誘ってくれ、業界の方々と親しくなれました。何よりも自分のブランドコンセプトやターゲット層のニーズがつかめ、展望が開けました」と感謝する。

21年に商工会議所の紹介で、下津井の古民家で念願の実店舗を開店。今は商品づくりの傍ら、倉敷市に移住を検討する人たちとの交流会を開き、いろいろな情報を提供している。地元のアパレル仲間たちとは「縫製ばぁ」というYouTubeチャンネルを開設し、服作りの現場の様子を発信。「僕は地場産業の仕事をしているので、比較的苦労なく地元の方々と交流できました。岡山は居心地が良くて、時々、故郷の茨城かと錯覚します」と笑う。歩いて見つけた新しい人生を、存分に満喫している。 (エリアライター/福田ひろみ)

移住を考える人たちと交流会を開く写真提供/福川さん)

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