広島 ✽ 移住バンザイ 東京▶︎呉市 ✽ 医療困難地域で訪問看護を 黒﨑亜耶さん(呉市)
- 読売ライフ
- 2025/03/16中四国情報
【 広島県版 】移住バンザイ 東京▶︎呉市
医療困難地域で訪問看護を
黒﨑亜耶さん(呉市)
島々を巡り訪問看護を行う黒﨑さん
広島県呉市と愛媛県今治市にかけて瀬戸内海の島々を七つの橋でつなぐ安芸灘とびしま海道。
黒﨑亜耶さん(41)は2022年に東京から兵庫県姫路市を経て、高齢化率70%という地域に移住し、訪問看護師として看護から看取(みと)りまでを行う。
◆島を巡り約20人を担当
黒﨑さんは大阪市出身。京都女子大(京都市)を卒業後、会社員を経て介護福祉士、看護師の資格を取り、東京・新宿区の国立国際医療研究センター病院に看護師として勤務した。「ゆくゆくは国際医療協力のため海外で働くことを目標としていましたが、コロナ禍で海外渡航が困難になったことがきっかけで国内の医療困難地域に目を向けるようになりました」と振り返る。
22年夏、訪問看護師として大崎下島に着任した黒﨑さんは、安芸灘とびしま海道の同島と岡村島、豊島、上蒲刈島、下蒲刈島を巡り、約20人の訪問看護を行う。「その人らしく元気で暮らせる時間をどれだけ延ばせるかと、その後に続くあたたかな看取りを支えることが私の仕事です」とほほ笑む。毎日、島々に暮らす利用者を訪ね、さりげない世間話から健康状態を確認する。「お医者さんには言いにくいことでも看護師には体の不調や不安なことを口にしてくれるんです」と言う。
◆世間話から看取りまで
高齢女性を訪ねた際には、畑で孫やひ孫のことなどをしばらく話した後、女性が黒﨑さんに「腕を上げると痛くて動かしにくい。お医者さんのところへ行くべきか」と尋ねると、「作業療法士に痛くない腕の使い方を教えてもらうのはどうですか」とアドバイス。漁港近くのお好み焼き屋さんで食事をした時には、居合わせた高齢者の健康相談にものる。海岸通りのベンチで日なたぼっこする高齢者を見かけると声をかける。黒﨑さんは、「高齢者の健康維持には人間関係の影響も大きいですね。いろいろな人と関わり、喜びや悲しみなどいろいろな感情に心が揺れることが大事だと思うんです」と話す。
畑で世間話をしながら健康チェック
海岸通りで日なたぼっこする高齢者と
「訪問看護は、病院勤務に比べて仕事の範囲が広く、自由度も高いのですが、どう対処すればいいのかをいつも考えさせられます。私はクリスチャンとして自分の手足を使い、愛を示すことを心がけています」と語る。
看護・介護従事者が不足している現状の中、少子化で高齢者を介護する身内は減り、必要なケアを受けられない孤独な高齢者が増えているという。「高齢化率の高い安芸灘とびしま海道の周辺はその先進地」と黒﨑さん。昨年は2人の高齢者の看取りを手伝った。「看取りは最後の愛情交換ができる特別な時間。理想は家族や親類、友だちに囲まれ、引き継げる人がいること。私は裏方として患者さんやご家族の豊かな看取りを支えたい」と思いを込める。(エリアライター/黒田仁朗)
過疎高齢化などをテーマに大崎下島で社会実験する学生と話す黒﨑さん(左)