愛媛 ✽ 愛媛から全国へこだわりの〝塩つくり〟✽ 伯方塩業(松山市・今治市)
- 読売ライフ
- 2025/03/15中四国情報
【 愛媛県版 】おじゃましまーす!
愛媛から全国へこだわりの〝塩つくり〟
伯方塩業(松山市・今治市)
見学のほか「My塩つくり体験」ができ、ショップもある大三島工場
「伯方島の塩田を復活させたい」という消費者運動から1973年に誕生した「伯方の塩」は、
多島美が広がる瀬戸内しまなみ海道沿いの大三島と伯方島で製造される。
大三島にある工場を訪ね、日本の〝塩つくり〟の歴史に触れた。
◆ 伯方島の塩田存続運動
創業のきっかけは71年に塩田での塩作りが法律で廃止されたことだった。塩の製造がイオン交換膜を利用する新しい製法に切り替わることに疑問を抱いた消費者が、塩田を利用して作る塩の存続と塩の選択権を求めて運動を開始。運動はたちまち全国に広がり、短期間で5万人もの署名が集まった。この運動がきっかけで伯方塩業が誕生。当時、国が輸入していたメキシコまたはオーストラリアの天日塩田塩を使用するなどの厳しい制約はあったものの、自分たちの手で塩を作れるようになった。「伯方の塩」には「伯方島の塩田を復活させたい」という多くの人々の願いが込められており、登録商標となっている。
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◆ 40年後に再現された塩田
大三島工場(今治市)は「伯方の塩」の製造工程を見ることができ、多くの見学者が訪れている。原料となる輸入天日塩田塩は〝にがり〟がほとんど含まれていないため、同工場沖から取り入れた海水で完全に溶かして、濾過(ろか)したきれいな濃い塩水を釜で煮詰めている。工程の中でも〝にがり〟をほどよく残すために自然乾燥を行っている塩の山は大迫力だ。見学コースを歩いていると大相撲の太鼓の音が聞こえてきた。BtoC推進課の野間保さんは「大相撲の東京場所と名古屋場所で力士がまく塩は『伯方の塩』です」と教えてくれた。
ガラス越しに〝塩つくり〟が見学できる。コースは約30分
また、かつて瀬戸内海沿岸に立ち並んでいた「流下式枝条架併用(りゅうかしきしじょうかへいよう)塩田も見学可能。塩田が姿を消してから40年近く経った2010年に再現されたものだ。この塩田では取り入れた海水を流下盤に流し、太陽熱で水分を蒸発させ、濃い塩水にする。できた濃い塩水は竹の枝を組んだ枝条架の上から滴り落とすことで、風の力でさらに濃縮させる。野間さんは「資料の調達から設計、笹竹・木材の調達などすべて社員が行い、竹の枝を組む枝条架作りは伯方島の塩田を知る元技術者から学びました」と塩田再現プロジェクトについて話す。塩田を利用してできた塩は「されど塩」、「されど塩藻塩」として販売されている。
流下式枝条架併用塩田。高さ5.5m、幅8m、長さが35mの枝条架が15列並ぶ
海水を原料の一つとする同社では、豊かな海の保全を目的に22年から工場前の海岸で魚介類の繁殖場にもなるアマモ場の再生活動にも取り組んでいる。「アマモの種子を赤土に混ぜた団子を地元の高校生と海に投げ込み、少しずつ繁殖させています」と野間さん。創業から半世紀余り、同社の安全・安心を追及する姿勢は〝塩つくり〟だけでなく、持続可能な未来に向けた海の保全活動にも反映されている。(エリアライター/黒田仁朗)
工場ショップでは「伯方の塩ソフト」や自社で栽培したサツマイモを使ったクッキーなどを販売。
大三島工場見学ガイド
今治市大三島町台うてな32
◆見学時間:9〜16時(受け付けは15時30分まで)
◆定休日:水曜日(祝日除く)、盆休み(8月13〜17日)、秋祭り、年末年始(12月28日〜1月7日)
問い合わせ:☎0897・82・0660