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取材記者の旬のトピック

広島 ✽ 尾道ラーメンで起死回生 ✽ 阿藻珍味(あもちんみ)・福山市

【 広島県版 】おじゃましまーす!

  尾道ラーメンで起死回生

阿藻珍味(あもちんみ)・福山市

風光明媚(めいび)な鞆の浦を見下ろす場所にある本社(写真提供/阿藻珍味)

歴史ある古い町並みが残る福山市南部の景勝地・鞆の浦で、
尾道ラーメンや練り物、珍味など瀬戸内の食文化を守り伝える食品メーカー「阿藻珍味」。
お土産にも人気の品が多い。鞆の浦漁港を見下ろす本社を訪ねた。

地元福山に誇れる本社を
斜面の中腹に立つ同社は銀色の瓦屋根と白壁が目をひく、まるで城のような純和風の大きな建物が印象的だ。道路に面して直営店があり、奥はオフィスと工場になっている。

創業は1949年。最初は小エビを甘辛く煮た「海老の仙酔煮」をリヤカーで売る商売からスタートした。60年代には、ちくわなどの練り製品も作り、百貨店や量販店などにも販路を広げ、従業員は200人ほどに増えた。

同社には二つの転機があった。一つは、お歳暮商戦の真っただ中の87123日の夜、本社と工場が全焼したこと。4代目社長の阿藻琢郎(あもたくろう)さんは、「工場はもう1か所あったものの、多くの商品が焼失しました。人的被害がなかったことは幸いでしたが、これ以降、123日は絶対に忘れない『防災に取り組む日』になりました」と話す。

その後の再建では「地元福山に誇れるような本社を作ろう」と現在の社屋を建築、経営方針も見直した。それまでは小売店に卸す割合が大きかったが、商品のブランド化を進めて、直販にも注力。本社に練り物作りなどが体験できる施設も作り、「顔が見えること」を大切にするようにしていった。

本社隣接の直営店で尾道ラーメンと練り製品を紹介してくれた阿藻琢郎さん

冒険心からヒット商品が
もう一つの転機は「尾道ラーメン」を発売した93年。当時は練り製品や珍味の需要が減り、お土産はスイーツが主流になっていた。そんな中、尾道でよく食べられていた「豚の背脂・平打ち麺・醤油味」が特徴の中華そばを「尾道ラーメン」としてお土産用に発売。それまでは「尾道ラーメン」という単語すら存在していなかったが爆発的なヒット商品となり、「尾道ラーメン」の名前も全国に広まって、ご当地ラーメンのお土産市場を開拓した。阿藻さんは「冒険心が旺盛な2代目社長の父の時代に誕生した商品です」と笑顔で振り返る。今では、同社の売り上げの約3割を「尾道ラーメン」が占めているという。

今後について阿藻さんは「まずは地元を大切にすること。しかし冒険心も忘れず、時代にマッチした〝おいしい〟を、常に追求していきたいですね」と目を輝かせた。(エリアライター/井東由里子 

尾道ラーメンのパッキング工程

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