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岡山 ✽〝食〟と〝宿〟で山間地を活性化 ✽ 桝岡真さん・桃子さん夫妻(西粟倉村)

【 岡山県版 】移住バンザイ 東京 ▶︎ 西粟倉村

  〝食〟と〝宿〟で山間地を活性化

桝岡真さん・桃子さん夫妻(西粟倉村)

300年の古民家で宿を営む桝岡さん夫妻

西粟倉村は岡山県の北東端に位置し、鳥取と兵庫の県境に接する人口約1300人の小さな村だ。
面積の約9割が森林で、細長い平野部を標高1000m級の山々が囲む。
そんな大自然の中で人生の再スタートを切った移住者が、村の人口の約15%を占めるという。

合い言葉で暮らしを楽しく
同村で古民家を改装したゲストハウス「おさじの宿・堂屋敷」と隣の奈義町でおやつ店「おさじの工房」を営む、桝岡真さん(50)・桃子さん(46)夫妻は2019年に、現在中学3年と小学5年の娘と共に東京から移住した。

 
写真左/イベント出張もする「おさじの工房」。営業はインスタグラムで確認を
写真右/ホウレンソウ、竹炭など種類豊富な「さといもドーナツ」

「『村暮らしは不便では?』とたずねられると『慣れない外国暮らしより良い』が僕らの合い言葉。ネット通販やマイカーで買い出しに行くので欲しいものは手に入る。何よりも人が優しいので居心地が良いです」と桝岡さん夫妻は顔を見合わせてにっこり。この合い言葉は、移住前に真さんが勤めていた商社時代に生まれた。11年から4年間、治安が悪いといわれる南アフリカのヨハネスブルクに家族と共に駐在していた。緊張感のある日々を経験したことが2人の生き方を変えた。

子育てママに寄り添う店
移住の理由はこれとは別の家族の危機だった。桃子さんは、「帰国後、夫は仕事に追われて終電で帰る毎日。私も仕事に家事、育児と手いっぱいで、気付けば家族団らんが消えていました。環境を変えようと移住を決意しました」と振り返る。数年かけて場所を探し、真さんが気候の良い地域で木工技術を習得したかったことから岡山へ。職業訓練校がある津山市に近く、子供たちの教育に適した西粟倉村を選んだ。

移住後、桃子さんは夢だった自家野菜を使いスープや焼き菓子を作り、イベント先などで販売していた。そんな中、奈義町のサトイモ農家と縁ができ、市場に出回らない親芋が廃棄されていることを知る。「何とか活用したい」と生地に親芋を練り込んだ焼きドーナツを考案、さらに「孤立しがちな子育てママに寄り添いたい」と22年春に同町に「おさじの工房」をオープンさせ、人気店となった。

23年に新たな事業として村で開業したゲストハウス「おさじの宿・堂屋敷」には国内外から観光客が訪れ、地域活性化にも貢献している。桃子さんは「今では家族4人で過ごす時間に幸せをかみしめています。店や宿が利用者に『再び訪ねたい』と思われる存在でありたいですね」と笑顔を見せた。(エリアライター/福田ひろみ

300年の庄屋屋敷を改装した「おさじの宿・堂屋敷」

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