B-1グランプリ入賞 人気は全国区 ✽ 津山ホルモンうどん/津山市
- 読売ライフ
- 2025/01/15中四国情報
【 岡山県版 】地元の味探訪
B-1グランプリ入賞 人気は全国区
津山ホルモンうどん(津山市)
「お食事処たかくら」のホルモンうどん。開店当時からのメニュー
独特の食感とジュワッと脂のうま味が口の中にあふれる、牛ホルモン入りの焼きうどん「津山ホルモンうどん」が全国に知られるようになったのは、2006年に始まったご当地グルメの祭典「B-1グランプリ」がきっかけだ。
09年から参加し入賞を重ねるうち、県内外のグルメ客が津山へ足を運ぶようになった。ピーク時の11年は約30億円の経済効果を市にもたらした。
今も変わらず津山観光の目玉だ。
◆ 食で町おこしを
ブームの発端は、05年の岡山国体だった。仕掛け人のひとりで津山市地域振興部長の明楽智雄(あきらちゆう)さんは、市内に滞在した選手たちに紹介する飲食店の情報をまとめていた際、多くの鉄板焼店が牛ホルモンを使った焼きうどんを提供していることに気づいた。「地元では定番でも津山以外では知られていない。食で町おこしができると思いました」と振り返る。明楽さんは08年に市職員を中心に「津山ホルモンうどん研究会」(現在会員52人)を旗揚げ。約30店を紹介した地図を配布すると、県内で評判を呼び、「B-1グランプリ」入賞で人気は全国区になった。
現在、市内には畜産農家が約40軒もある。食肉文化は古く、705年に牛馬の市が開かれた記録が残る。農耕用だけでなく、たんぱく源としても食べられていたのか、江戸時代は肉を薬として食す「養生食い」が許されていたといわれる地域でもあった。
明楽さんはホルモンうどんの誕生について、「津山の食肉処理センターの処理技術が高かったため、飲食店は新鮮なホルモンが手に入れやすかったのでしょう」と推測。1950年代には、ホルモンうどんを提供している店がすでにあったそうだ。
明楽さんは津山ホルモンうどん研究会の事務局長も務める
◆ 食べ比べも楽しんで !
研究会が年間3万枚配布するマップには、現在21店が載る。人気店のひとつで、南克己さん·陽子さん夫婦が営む「お食事処(どころ)たかくら」(同市下高倉西)は、熱々の鉄板でホルモンと野菜、麺を一気に焼き上げる。自慢のタレで味付けしたうどんは文句なしのおいしさ! 陽子さんは「蜜入りリンゴやニンニク、タマネギなどを惜しみなく入れた醤油(しょうゆ)ダレで、常連さんから〝バカタレ〟と呼ばれています」と笑う。各店のこだわりを聞けば、食べ比べに期待が高まる。
南さん夫婦
数年前からは、地元で長く食べられてきた牛モモ肉(ブロック)に塩をもみ込み天日干しした「干し肉」や、骨から肉をそぎ落とした「そずり肉」にも注目が集まる。すっかり「牛肉王国」として周知された津山。2025年は津山の牛肉で滋養をつけてスタートしてみては。(エリアライター/福田ひろみ)
大人気のホルモンうどん関連のみやげ。鶴山公園そばの津山観光センターや津山駅などで販売されている