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子供たちの心につないでいきたい ✽ 金長と狸(たぬき)文化伝承の会/小松島市

【 徳島県版 】頑張ってま〜す!

  子供たちの心につないでいきたい

金長と狸文化伝承の会小松島市

「ニホンフラッシュたぬき広場」の金長狸の銅像。手をたたくと像の背後で水が流れる

四国ではタヌキを神として敬い、信仰する文化が各地で息づいている。
中でも小松島市の「金長狸
(きんちょうたぬき)」は飛び抜けて有名。
スタジオジブリのアニメ映画「平成狸合戦ぽんぽこ」でも大活躍した。
その「金長狸」を地域文化として守り伝えているのが「金長と狸文化伝承の会」だ。

小松島の文化を未来へ
市の中心地にある「ニホンフラッシュたぬき広場」には、高さと胴まわりが5m、重さ5tという巨大な金長狸の銅像がある。周辺にはタヌキの石像や看板が点在し、その中でもシンボルとなっているのが金長神社だ。同神社は1939年公開の映画「阿波狸合戦」の大ヒットに感謝した映画会社のオーナーらが寄進して56年に建立され、長年市民に親しまれてきた。アニメ映画「平成狸合戦ぽんぽこ」にも登場し、観光スポットにもなっている。

「金長と狸文化伝承の会」の発足は、2017年に市の都市計画で神社が取り壊しの危機に立たされ、保存を訴える市民らが「金長神社を守る会」を結成したのがきっかけ。国内外から1万筆を超える署名が集まり、21年には取り壊しが撤回された。その後、神社の保存だけではなく小松島の大切な文化を未来につなげていこうと、同年「金長と狸文化伝承の会」として社団法人化。寄付やクラウドファンディングなどで約2300万円が集まり、昨春には拝殿、今年10月には本殿の修復工事が完了した。

現在の会員数は約100人。金長狸を始め全国のタヌキ文化の調査や研究、情報発信、イベントなどを行っている。理事長の樫原敏之さんは「金長狸は小松島の象徴。若者にもタヌキ文化を広めたい」と力を込める。同会では年2回の広報誌「金長たぬき通信」を発行。編集担当の八十川崇さんは「『阿波の狸合戦』には実在した場所や人物が登場し、身近に感じます。知れば知るほど(タヌキが登場するのに)人間くさい話です」と語る。

ジブリ映画をまねて金長神社で作戦を練る会員

身近な自然の象徴
毎年5月には金長神社で「金長こどもまつり」を開催。たぬきの練り歩きや、ベーゴマ、メンコ、紙芝居など昭和の子供たちの遊びを行っている。10月にはアニメソングやコスプレで盛り上がる「金長サブカル秋まつり」を開き、元旦はお守りや御朱印を頒布する。同会理事で地蔵寺住職の服部宏昭さんは、「昔から小松島の人々は身近なタヌキを自然の象徴としておそれ、敬う心を継承してきました。未来を担う子供たちの心につないでいきたい」とほほ笑んだ。(エリアライター/黒田仁朗

「金長こどもまつり」を盛り上げるメンバー

金長狸とは
波の狸が争う江戸時代の民話「阿波の狸合戦」の主人公。明治時代に講談で人気になり、写本が全国に広がった。小説や芝居の題材になり、近年は映画、アニメーション、ゲームなど様々なコンテンツに登場している。

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