【 岡山県版 】おじゃましま〜す!
ウェディング用キャンドルのパイオニア
ペガサスキャンドル(倉敷市)
ウェディング用キャンドルのトップメーカー「ペガサスキャンドル」は半世紀にわたり、1000万人以上の新郎新婦にキャンドルの明かりを届けてきた。
近年は炎のゆらめきが癒やしにつながると、様々な生活シーンに合う雑貨用も開発。
婚活市場にも参入するなど事業の幅を広げている。
◆ 婚礼キャンドル誕生まで
JR倉敷駅から車で南西へ約20分。高梁川近くの住宅街に本社を置く。ウェディングキャンドル市場の国内シェア6割を占めるリーディングカンパニーで、婚礼用商品の年間生産量は120tにのぼる。
創業は1934年(昭和9年)。3代目で代表取締役の井上功郎(いさを)さん(43)の祖父が、神仏用ろうそくを製造したのが始まり。戦後は加工貿易の波に乗り、アメリカのエネルギー企業「エクソンモービル」社製の原料で、同国向けの輸出用キャンドルを製造するようになる。現在の社名とロゴは、モービル社のシンボルであるペガサスにあやかったそうだ。
輸出事業は順調だったが、73年のオイルショックで窮地に立たされる。そこで目をつけたのが、東京の一部のホテルで使用されていた特大キャンドル。同社に時々、その注文が入っていたことから、井上さんの祖父や相談役の父、会長の叔父が結婚式に活用することを思い付き、全国に営業をかけ、この市場が生まれた。
80年代以降は華やかな披露宴が主流になり、多彩なキャンドルを開発。テーブルコーディネートや演出の提案にも力を入れ、ウェディング用キャンドルのパイオニアとして業績を伸ばした。披露宴で新郎新婦がゲストテーブルのろうそくに点灯する「キャンドルサービス」も同社が広めた演出だった。
◆ 雑貨や食卓用商品も開発
20年前からは雑貨用にも力を注ぐようになる。マーケティング室の平野弥芳さん(51)は「女性が癒やしを求めていた時代で、お風呂に浮かべるキャンドルやアロマキャンドルが大ヒットしました」と振り返る。以来、暮らしに取り入れられる「癒やし」や「アウトドア」をテーマに、次々と商品ブランドを構築。なかでも「倉敷製蠟」ブランドの「 CARD CANDLE(カード キャンドル)」は国内外のデザイン賞を受賞し話題を集めた。
洗練されたデザインが特長の「倉敷製蠟」(写真提供/ペガサスキャンドル)
実際にキャンドルの魅力ある空間を体感してもらおうと、10年前には倉敷美観地区近くに大正時代の蔵を改修したレストラン「キャンドル卓 渡邉邸」をオープン。利用客の多くが併設ショップで食卓用キャンドルなどを購入していくそうだ。
今年7月には、新たな試みとして結婚相談所「Akari」を開設。井上さんは「カップル成立のお手伝いと、お世話になったブライダル業界に恩返しができれば」と力を込める。(エリアライター/福田ひろみ)