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トップクラスの糖度を誇る西条柿の栽培面積が日本一/島根県

【 島根県版 】実は日本一✽西条柿栽培面積

  出雲の山の恵み トップクラスの糖度

全国の46% 約132万㎡島根県)

小松さん(左から3人目)とスタッフたち

渋柿だが、渋抜きすれば柿の中でもトップクラスの糖度を誇る西条柿。
平均的な柿の糖度が16度なのに対し、西条柿は約18度もある。
形も特徴的で、富有柿のような偏平ではなく、縦長で側面に4本のへこみがある。
この西条柿の栽培面積で日本一を誇るのが、島根県だ。
2021年の栽培面積は約132万㎡で、全国の46%を占める。

西条柿

◆ 戦国時代 兵糧として奨励
発祥地は広島県西条(現在の広島県東広島市西条町)。鎌倉時代には干し柿にしたものを毎年、将軍に献上していたとされる。やがて西条柿は西日本を中心に広がり、とくに戦国時代には、保存食や合戦時の兵糧に使えることから栽培が奨励された。島根県に伝わったのも、戦国時代といわれる。

島根県の中でも、特に西条柿の産地として知られるのが出雲市平田地区。同地区最大の柿農家「柿壺」代表の小松正嗣さん(43)は、「平田の中でも、特に出雲大社から美保関(みほのせき)まで続く出雲北山山系が栽培に向いています。粘土質で粒子が細かい土壌が、柿の栽培に向いているんです。鉄やマンガンなどミネラル分が豊富で、このことが糖度の高さにも関係しています」と語る。

◆ 「干し柿に」全国区の人気
小松さんは、兵庫県でコンピュータ関連会社に勤務していた。会社を辞めて農家になりたいと思い、大学時代の後輩がいる島根県内の牧場で働きながら模索していた頃、後輩宅で食べた西条柿が驚くほど甘く、可能性を感じた。出雲市が運営するアグリビジネススクールで柿栽培を学び、14年に柿農家として独立。柿農家の高齢化が進む中、引退する農家の土地を引き受ける形で、現在は約3000本の西条柿の木を栽培している。

出雲市にある「柿壺」の柿の木畑

「干し柿にしたとき、他の柿とは味や甘さが全然違うんです。せっかく作るなら西条柿で干し柿を作りたいという方も多く、ネットを通じて全国からご注文をいただいています」と人気ぶりを語る。近年は干し柿を冷凍保存したものも販売。シーズン外の夏でも食べられると、こちらも好評だ。ほかに傷が付くなどして販売できない柿をスライスして乾燥させたドライフルーツや農薬を使わず栽培した柿の葉を使った柿の葉茶などもネットで購入できる。

西条柿の収穫シーズンは10月から12月初旬まで。12月は干し柿の最盛期を迎え、工場は柿の皮むきで活気づく。(エリアライター/今井順子

西条柿の干し柿

柿のドライフルーツと柿の葉茶

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