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ネコ坊主の「ネコさんから人間さんへ今日の一言」Vol.4

 
Vol.4
不機嫌はいつか大事な人を失ってしまう。お気をつけください。 
 
 
 

 

ネコ坊主こと、専念寺住職の藪本正啓です。

 

「不機嫌は無言の暴力 和顔愛語の大切さ」

私はかつて、忙しさやストレスを理由に、不機嫌な態度を周囲に見せることが多くありました。特に家族や親しい人には遠慮がなくなり、冷たい言葉や無愛想な表情で接してしまうことがありました。しかし、それがどれほど相手を傷つけ、大切な人を遠ざけてしまうのかを、ある出来事を通じて痛感しました。

 

お寺に来られた檀家さんが「不機嫌って無言の暴力ですよね。気づかないうちに大切な人を遠ざけてしまうんです」と言いました。その言葉に、私はハッとしました。不機嫌な態度は直接的な暴力ではありませんが、相手に「受け入れられていない」という印象を与え、関係を壊してしまうのです。

 

私自身も、不機嫌が原因で人を遠ざけた経験があります。家族や友人からの言葉に素っ気なく返事をしたり、誘いをぞんざいに断ったりするうちに、気づけば距離ができていました。あるとき、久しぶりに会った友人に「昔より話しかけづらくなった」と言われ、自分の態度を反省しました。

 

そんなとき、「和顔愛語(わげんあいご)」という仏教の教えを思い出しました。「穏やかな笑顔と思いやりのある言葉で人と接し、敬意を払うこと」を意味する言葉です。まさに「ニコニコ&リスペクト」と言い換えられるかもしれません。この教えを胸に刻み、まずは笑顔を意識するようにしました。たとえ大した言葉をかけられなくても、笑顔だけで相手の心を和らげることができるのです。

 

すると、少しずつ変化が現れました。家族との会話が増え、友人との関係も改善し、お寺の中でも雰囲気が和らぎました。ある日、妻に「最近、優しくなったね」と言われたとき、和顔愛語の力を実感しました。

 

不機嫌は、気づかぬうちに大切な人を傷つけ、関係を壊してしまいます。しかし、それを防ぐのは難しくありません。ただ、笑顔を忘れず、温かい言葉を意識するだけでよいのです。もし今、大切な人と距離を感じているなら、自分の態度を振り返り、和顔愛語の心を大切にしてみてください。きっと関係は良い方向へ変わっていくはずです。

 

★ネコ坊主の「ネコさんから人間さんへ今日の一言」は、毎月第1・第3木曜日に「〝人間関係が楽になる〟〝心にしみる〟ことば」を紹介しています。

 

プロフィル

融通念仏宗 一向山専念寺 住職 籔本正啓(通称:ネコ坊主)

大阪市平野区喜連にある専念寺の第25代住職。1982年、大阪市平野区生まれ。7歳で父を病で亡くし、 母方の実家である専念寺に戻り、僧侶を志す。 23歳で住職を拝命。専念寺は豊臣家ゆかりのお寺で、「日本で一番美しい」と言われる迦陵頻伽(かりょうびんが)を拝観できる。

地域ネコの見守りと保護活動にも力を入れ、寺の掲示板のことばの書と猫の写真をSNSに投稿し、大きな反響を呼んでいる。Xフォロワー28万人、Instagramフォロワー26万人(2025年4月時点)。

著書に『ネコさんの「心にしみる」おひとりさま名言』(双葉社)、『大阪 専念寺 ネコ坊主の掲示板 人の悩みのほとんどは「人」 今日のことば101」 (主婦と生活社)。

専念寺ホームページ

 

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