ネコ坊主の「ネコさんから人間さんへ今日の一言」Vol.4
- よみふぁみ限定
- 2025/04/17その他お得情報


ネコ坊主こと、専念寺住職の藪本正啓です。
「不機嫌は無言の暴力 和顔愛語の大切さ」
私はかつて、忙しさやストレスを理由に、不機嫌な態度を周囲に見せることが多くありました。特に家族や親しい人には遠慮がなくなり、冷たい言葉や無愛想な表情で接してしまうことがありました。しかし、それがどれほど相手を傷つけ、大切な人を遠ざけてしまうのかを、ある出来事を通じて痛感しました。
お寺に来られた檀家さんが「不機嫌って無言の暴力ですよね。気づかないうちに大切な人を遠ざけてしまうんです」と言いました。その言葉に、私はハッとしました。不機嫌な態度は直接的な暴力ではありませんが、相手に「受け入れられていない」という印象を与え、関係を壊してしまうのです。
私自身も、不機嫌が原因で人を遠ざけた経験があります。家族や友人からの言葉に素っ気なく返事をしたり、誘いをぞんざいに断ったりするうちに、気づけば距離ができていました。あるとき、久しぶりに会った友人に「昔より話しかけづらくなった」と言われ、自分の態度を反省しました。
そんなとき、「和顔愛語(わげんあいご)」という仏教の教えを思い出しました。「穏やかな笑顔と思いやりのある言葉で人と接し、敬意を払うこと」を意味する言葉です。まさに「ニコニコ&リスペクト」と言い換えられるかもしれません。この教えを胸に刻み、まずは笑顔を意識するようにしました。たとえ大した言葉をかけられなくても、笑顔だけで相手の心を和らげることができるのです。
すると、少しずつ変化が現れました。家族との会話が増え、友人との関係も改善し、お寺の中でも雰囲気が和らぎました。ある日、妻に「最近、優しくなったね」と言われたとき、和顔愛語の力を実感しました。
不機嫌は、気づかぬうちに大切な人を傷つけ、関係を壊してしまいます。しかし、それを防ぐのは難しくありません。ただ、笑顔を忘れず、温かい言葉を意識するだけでよいのです。もし今、大切な人と距離を感じているなら、自分の態度を振り返り、和顔愛語の心を大切にしてみてください。きっと関係は良い方向へ変わっていくはずです。