香川 ✽ 民宿と劇場 出会いのつなぎ役を ✽ 舞台俳優 松之木天辺さん(小豆島町)
- 読売ライフ
- 2025/03/16中四国情報
【 香川県版 】移住バンザイ 東京→小豆島
民宿と劇場 出会いのつなぎ役を
松之木天辺さん(小豆島町)
民宿から小さな階段を降りると海。近辺に「二十四の瞳映画村」や「マルキン醤油記念館」など観光スポットが点在する
舞台俳優として活躍する松之木天辺さんは、2017年に、小豆島に移り住み、小豆島を拠点に創作活動をスタート。
東京と行き来しながら、小豆島で民宿と劇場ギャラリー、バーが複合した滞在型宿泊施設「shodoshima 开 KAI」を運営。
舞台芸術とエンターテインメントで旅人の出会いを結ぶ。
◆湾を見渡せる丘の上の民宿
小豆島東部の内海湾沿岸には醤油(しょうゆ)や佃煮(つくだに)の工場が立ち並び、甘い香りが漂う。松之木天辺さんが営む民宿「teppen」は湾を見渡せる丘の上にある。縁側のソファに座ると沖に小さな島が見え、「弁天島というんです」と松之木さん。島には芸能の神様ともいわれる弁財天が祀(まつ)られているという。
小豆島の風情が味わえる民宿teppen。正面に「二十四の瞳」で描かれた岬が見える
◆ 階下は手作り感満載の劇場
松之木さんは1974年千葉県生まれ。学生時代に合唱を始めたことがきっかけで、卒業後はオペラ劇団「オペラシアターこんにゃく座」(神奈川県)に所属し、7年間歌役者としてキャリアを積んだ。近年は舞台『千と千尋の神隠し』(2022年)や舞台『メイジ・ザ・キャッツアイ』(24年)などに出演。オペラやミュージカル、コンテンポラリーダンスから脚本、演出、作曲など活躍の場は多彩だ。民宿の階下が劇場「Theater 箱舟(はこぶね)」。「50人くらいは座れます」と松之木さん。幅約4m、奥行き3mほどの舞台の奥には、積み上げられた醤油の一升瓶ケースの上に照明が設置され、手作り感満載だ。
「シアター箱舟」で『鏡』を収録する松之木さん
◆ 演劇通し地元と都会の交流
しばらくするとピアノの音が軽快に響き、黒い衣装をまとった松之木さんが舞台に現れた。俳優の岸田今日子さん作の一人芝居「鏡」の収録だという。歌と演技は客席と舞台が近いため迫力がすごい。音楽は松之木さんが岸田さんに直接会って承諾をもらい作曲した。「ここで創作したものを都会で上演したり、都会から来た俳優やダンサーたちがここでライブをしたり、島の子供たちと作品を作ったりしています。島には江戸時代から続く農村歌舞伎があり、島民は芝居を見る力、演じる力が肥えていらっしゃる」と松之木さんはうれしそうに話す。今年は瀬戸内海の島々を舞台に「瀬戸内国際芸術祭2025」が4月18日から開催される。松之木さんは「出会いと感動が旅のだいご味。ここでアートとエンターテインメントを通して出会いのつなぎ役をしたいんです」と、笑顔を見せた。(エリアライター/黒田仁朗)
「草の根の交流を広げたい」と語る松之木さん
香川県小豆島町苗羽9-4