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美食家から高評価 輸出も好調 ✽ 養殖マダイ生産量日本一/愛媛県

【 愛媛県版 】実は日本一

  穏やかな海と高い技術で育む

養殖マダイ生産量日本一(愛媛県

宇和島市津島町の湾内に浮かぶいけす

愛媛県は養殖マダイの生産量が1990年以降、日本一を誇る。
県の調べによると2022年の生産量は約38600t
波が穏やかで美しい海と高い技術で育ったマダイは近年輸出も好調で、世界の美食家からも高い評価を得ているという。

ブランドマダイも開発
愛媛県産のマダイは国内生産量の過半数を占める。主な産地はリアス海岸の発達した宇和海。太平洋から黒潮が時折流れ込む宇和島市津島町から愛南町にかけての湾内だ。漁港から海をのぞき込むとスッキリと澄んだ海に瑠璃色をした熱帯魚が群れていた。

養殖いけすの大きさは縦·横·深さが約10mあり、出荷時には約1.32㎏に育った約13000匹のマダイが泳ぐという。漁業者から「これ、いけすに放り込んでみい」とペレット状のエサを渡され、一つかみ投げ込むと、たちまち海中から赤褐色のマダイがわき上がり、バシャバシャと水しぶきをあげながら恐ろしいほどの勢いでエサをむさぼる。

エサに群れるいけすのマダイ

県では近年、かんきつ類の皮と、皮から抽出したオイルなどを混ぜたエサが開発された。宇和島市の水産会社「南予ビージョイ」では、これを独自に配合したエサを与え、ブランドマダイ「みかん愛(あい)たい」を生産、販売している。身は魚特有の生臭さが消え、かんきつの香りがする。焼くとさらに香りが立つと好評だ。

出荷は早朝。前日からゆっくりと漁船でひかれてきたいけすが、漁港に横付けされ、11匹、特殊なケースに入れられ、生きたままトラックへ。その日のうちに大阪、東京に到着するという。

漁港に横付けされたいけすから水揚げされるマダイ。このままトラックへ

海外でもマダイが身近に
一方、輸出も好調だ。同社常務の清水洋一さんは、「韓国へは船で生きたまま輸出し、西欧へも生鮮状態で空輸しています」と胸を張る。輸出先はEU諸国、北米、東南アジア、中南米、中東など世界中に広がっている。清水さんは「近年は日本で修業した料理人が海外でも増え、日本のマダイが求められるようになりました。回転寿司(ずし)が海外に進出し、マダイが身近になったことなども要因です」と分析する。同社では24年にマダイをEU1万匹初出荷。「5年以内に5万匹を目指したい」と意気込む。

愛媛の郷土料理にもタイは欠かせない。鯛(たい)めしはタイを炊きこんだ「松山風」と、タイの刺し身をだしと卵を混ぜたタレに絡めて、ご飯にのせる「宇和島風」の2種ある。土産物店や通販では宇和島風鯛めしセットや鯛めしのタレ、鯛釜めしの素、電子レンジでチンするだけで出来上がる松山風鯛めしなど多彩だ。(エリアライター/黒田仁朗

義農味(松前町)の「鯛釜めしの素」

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